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カフェ・ヴェルディ開業当初の2003年は、「スペシャルティコーヒー」という言葉もまだまだ一般的ではありませんでした。
そして、当時の京都はどちらかと言うと苦いコーヒーが好まれる傾向にありました。
いろいろなコーヒーを飲み歩いていると、後に残る重い苦みのコーヒーも少なくない中、店主はこんなコーヒーを飲みたいと思うようになりました。

● 口に含んだ瞬間、芳醇な香りがするコーヒー
● まろやかで口当たりの良いコーヒー
● 嫌な酸っぱみや重い苦みがなく、後味にキレがあるコーヒー
● 飲み終えた余韻に甘くてふくよかな香りが残るコーヒー
今回は20年前、開業時の思いを込めて、古き良き時代のコーヒーを極上の域にブラッシュアップしたブレンドを作ることにしました。

目指したのは、[甘くて、まろやかで、深みのある味わい】

そこで、キーワードとなったのが
【甘み】
【丸み】
【深み】
でした。
各々の役割を果たしつつ、ブレンドしたときに互いを打ち消したり、喧嘩をしない豆を選び、試した結果、4種類の豆を使うことにしました。

甘みを演出する豆として、今回はインドネシアのマンデリンを選びました。
スマトラ島で作られるアラビカ種は、大きく分けて3つのエリアからなっています。
最も古い産地で、伝統的なマンデリンを作る「アチェ」
アチェより少し南、トバ湖近辺で、より柑橘系の香りが高い「リントン」
そして、スマトラ島中部にそびえるクリンチマウンテン周辺のパダン地区。

今回選んだのは、スマトラ島の中でコーヒー栽培に最も古い歴史を持つ北部の「アチェ」地区のものです。
標高1,200mに位置するタワール湖から延びる山々は、標高2,000~2,500mと高く、湖を抜ける冷涼な風は、昼夜の寒暖差を生み出し非常に良質なマンデリンを作り上げます。

近年、アチェは内紛状態が続いていたため、コーヒーの生産や輸出にも影を落としていましたが、内紛も落ち着きアチェ本来のクリーンでキレのあるマンデリンが入手できるようになりました。
理想的な環境で、じっくりと成熟したアチェのマンデリンが、ほのかに柑橘系の香りを感じる甘みを演出します。

「コロンビア」は、マイルドコーヒーの代表格として有名な国ですが、同国内の地域によって味の特徴は変わってきます。
今回は、コロンビアの中でも特に標高が高く、コロンビアの伝統品種が唯一しっかりと残り、味わい深さが際立つ「ナリーニョ」地域のものを選びました。

ナリーニョは、コロンビア北部に位置し、アンデス山脈が三つに分かれる分岐にあるため、山間を駆け巡る上昇気流と空からの下降気流にもまれ、冷涼な気候がもたらす熟度の高い豆が採れる産地です。
険しい山の中、自然の恩恵を受けて時間をかけて熟成した豆は、まろやかでいて力強く、上質でバランスの良い味わいを演出します。

コーヒーに深みを出す豆として、今回はペルーの標高1,900メートルにある La Lima農園の豆を選びました。
この農園は、Jorge Zamora Tamayとその家族が運営する小規模なものですが、収穫後のチェリーを24時間冷暗所で保管して、果肉を除去した後、非浸水で72時間ミューシレージ(果肉と種の間にある粘膜層)を弛緩させた後、2度の水洗で取り除くという非常に丁寧な精選をしています。

Jorgeファミリーは、険しい急斜面で作られるイエローカツーラ種から完熟したものだけを丁寧に摘み取り、サンシェードされたアフリカンベッドでゆっくりと乾燥させて、深い味わいを作り上げています。

ブレンドのアクセントに使うのは、グァテマラ・ウエウエテナンゴ地域で作られたブルボン種です。
Jorge Villatoro氏の農園「ミラバリャ」は、標高1,500~1,900mの斜面にあり、伝統品種のブルボン種とカツーラ種を中心に丁寧な栽培がされています。
カップオブエクセレンスで4位入賞の実績もある農園です。

近年注目を集めるウエウエテナンゴ地域の優良農園が作るブルボン種は、このブレンドにビターチョコのようなコーヒーらしい甘みと、ほんのり柑橘系の余韻を加えてくれます。